「高齢の親に、そろそろ免許を自主返納するように促したら機嫌をそこねてしまった。」この問題は、誰しも他人事ではないかもしれません。
なぜなら、高齢者が免許返納を拒む理由は生活面の心配だけじゃないからです。それでは、他にどんな理由があって免許の自主返納を拒んでいるのでしょうか?
この記事では、高齢者に免許返納を促すさいに知っておきたい理由や伝え方だけではなく、免許を返納した後の生活についても考えました。参考までに、ご確認ください。
高齢者が免許返納を拒む理由を知ろう
あなたは、高齢の親に免許返納を促すさいに、自分の伝えたいことばかりを考えていませんか?
高齢者に免許返納を説得するまえに、「なぜ高齢者は、免許を返納するのを拒むのか?」について考えることをおすすめします。
そうしないと、いきなり免許を返納してほしい旨を伝えることになり怒らせてしまう可能性があるからです。
高齢者が免許返納を拒む理由は、大きくわけて2種類になります。1つは不便さで、もう1つはプライドです。
特に、田舎に住んでいる場合車の無い生活は考えられません。少し遠くに行くときには、いつも車を利用しているのですから免許を返納した後の生活が心配になるのは当然のことでしょう。
「免許を返納したとして、生活はどうするのか」と考えてしまい思考がストップしてしまうのです。
もう1つの理由「プライド」も厄介なもの。社会人になってすぐに車を手に入れ、車と共に生活してきた世代にとって自分の子どもから「免許を返納してくれ」と頼まれるのは憤りを感じます。
家族を連れていろいろな場所に連れて行った父親には「事故に遭わず、無事に家族をいろいろな場所に連れていけたのは自分だ」という誇りがあるのです。
高齢者が免許返納を拒む理由を考えてみると、「どのように伝えたらいいか」も見えてきます。
免許返納を拒む理由を踏まえた上で伝える
ここまでで、高齢者が免許返納を拒む理由にはプライドもある、と説明しました。ですから、高齢者に免許返納を促すにはプライドを傷つけないよう伝える必要があります。
いきなり免許返納の話をするのではなく、まず「今までいろいろな場所に連れて行ってくれたことへの感謝の気持ち」を伝えるのがいいでしょう。
それを伝えたうえで、「なぜ運転をしない方がいいと考えているのか」ということや「免許を返納した後の生活はどうするのか」などを具体的に説明することをおすすめします。
- 今まで運転してくれたおかげでいろいろな思い出ができたこと
- 車に乗せてもらった経験から、事故に遭う怖さも分かったこと
- 事故に遭って欲しくないということ
- 客観的に、自分の判断力が落ちていることを知らせる(ドライブレコーダーやドライビングシュミレーターなどを用いる)
- 視力の低下により、視野が狭くなることを伝える
あなたも、探し出した情報に具体性があったら「この話は信用できそうだ」と感じることはありませんか?それは、高齢者も同じことなのです。
また、実際に高齢者が運転する車に乗って運転をチェックするのもいいですよ。
一緒に乗っている人間から「酔いそう」と言われれば、運転の荒さを直さざるを得ません。酔われては困りますからね。人を説得するには、なんでも具体例が必要なのです。
高齢者が免許返納をするメリット
ここからは、高齢者が免許返納をするメリットの話です。公共交通機関の利用料金に関する特典が受けられる場合が多いですよ。地域ごとにさまざまなサービスがあります。
- コミュニティバスの利用が無料になる
- 入浴施設で利用が半額になる
- 指定のタクシーが割引で利用できる
- 買い物の配送サービスを無料で使える
その他、生活面でのメリットは以下の通りです。
- 車の運転による事故の心配がなくなる
- 車の維持費がかからなくなる
「高齢者の免許を返納しよう」と家族が考える理由の中で、大きいのはやはり事故の心配でしょう。高齢者が、「自分はまだまだ元気だ、大丈夫だ」なんて考えていても運転中に上の空になってしまったり注意力が低下していたりすることがあります。
免許を返納すれば、自分が原因になる事故を防ぐことができるのです。
また、免許を返納することによって車の維持費がかからないことも大きなメリットの1つ。車を持っていると、たくさんお金がかかりますよね。
車を手放したことによって、公共交通機関を用いた方が節約できる場合も多いですよ。
具体的に、節約できるということが分かれば「免許を返納するのもいいのかも?」と前向きに考えてくれる高齢者もいることでしょう。
高齢者が免許返納に至ったきっかけは?
高齢者の方に、免許返納を促すと渋ることが多いという話を聞くと、「高齢者の免許返納は進んでいないのか?」と考える人もいることでしょう。
しかし、そうではありません。2019年には、免許を自主返納した件数が過去最高になりました。現在、それだけ「免許を返納しようかな?」と考えている高齢者の方が多いというわけです。
高齢者の方が免許返納に至ったきっかけは何でしょうか?
それは、高齢者が起こした大きな事故のニュースを聞いたこと。やっぱり、そういったニュースを耳にすることで自分自身に置き換えて考えるきっかけになりやすいのでしょう。
その他に多いのは、「視力の低下を実感して怖くなった」というものです。また、判断力が低下しているなぁと感じるようになったことも、免許返納を考えるきっかけに入っています。
男性の場合、免許返納で多い年齢は75歳以上85歳未満と言われていますよ。とはいうものの、いざ自分がその年になってみたら「免許返納はもう少し先でもいいんじゃないか」と考える人も多いです。
免許を返納した後の生活はどうする?
独居だと、なかなか免許を返納しようと思い至らないかもしれません。「今まで、足として使ってきたものを急に使わないで生活できるのか?」と不安にもなることでしょう。
ここからは、少し「免許返納をした後の生活はどうするのか?」という話をします。
考えている通り、今までの移動手段がなくなれば新しい移動手段が必要になりますよね。都会に住んでいるならまだしも、地方に住んでいたら公共交通機関も使いにくいことがあるでしょう。
そこで、検討をおすすめするのが電動車椅子を導入することです。
「車椅子」と聞けば、多くの人が思い浮かべるのは手動で操作するタイプのものですよね。しかし、ここでいう車椅子は原付バイクに似ている形の「シニアカー」と呼ばれるものです。街を歩いていると、時々みかけますよね。
値段はおよそ30万円から50万円です。販売店によって、運転経歴証明書を見せれば購入時特典がつくところもあります。
免許を自主返納すれば、身分証明書が無くなってしまうので導入された証明書。運転免許を持っていた人の、過去5年間運転経歴が証明できる。本人確認書類としての使用可能。
当ブログでは、サービス付き高齢者向け住宅についての記事も書きました。こちらの記事も合わせてご覧ください。
まとめ
高齢者の免許返納について解説をしました。誰しも他人事じゃないからこそ、どうすればいいのか困ってしまうこともあるでしょう。
高齢者講習の対象年齢を下げるなど、高齢者の運転に対する対策も取られています。社会全体で、家族を守ろうとする取り組みが行われているのです。困っているのはあなただけではありません。
安全について、家族でしっかりと話し合ってくださいね。感謝の気持ちと一緒に伝えれば、きっと伝わるはずですよ。
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