エンディングノートを書いたり、自分の葬儀について考えたり・・。終活って、することがたくさんありますよね。実は、もう1つ忘れてはいけないものがあります。
それは、「墓じまい」です。
最近、「歳をとってきてお墓参りがつらい」と感じていませんか?「うちの家は子どもがいないけど、お墓の後継ぎはどうしよう・・」なんて悩んでいませんか?
そんな悩みが出て来たら、墓じまいについて考えるときかもしれません。この記事では、墓じまいについてまとめました。
「墓じまい」って何?しないとどうなる?
「墓じまい」を簡単に説明すると、後継ぎが途絶えたお墓を、計画的に手順を踏んで撤去することです。
「なぜ、後継ぎが途絶えたお墓を撤去するの?」と疑問を持つ方もいることでしょう。その理由を説明します。
お墓を建てることは、お墓を建てる部分の土地をレンタルしている状態だとイメージしてください。なぜなら、お墓の土地は霊園や寺院のものだからです。
管理料が支払われなくなりお墓の後継ぎがいないと判断された場合基本的には5年ほどで区画の使用権が解約されます。
- 後継ぎや管理者がいなくなったお墓は無縁墓(むえんばか、もしくはむえんぼ)と呼ばれる
- 墓じまいは計画的にしなければ、撤去されて他の遺骨と合祀される
「無縁墓になるのは、ご先祖様に失礼だ」と考えて、そうなる前に墓じまいを選択する人が増えているわけです。
このような墓じまいが増えている理由はいろいろありますが、大きなものは「家族構成が昔と比べてずいぶん変わってきている」ということですね。
実家を離れて結婚する人が増加したり、進学や就職で地元を離れないといけない人がいたり・・。家族構成に変化が起きた理由はさまざまです。
家族構成に変化が起きたことにより、
- 高齢になったので、前みたいにお墓参りに行くことが困難である
- お墓を管理できる人が近くにいない
- お墓の後継ぎがいない
などさまざまな理由で墓じまいをする人が増加しているわけです。
墓じまいの前にすることを詳しく解説
墓じまいは、「墓じまい前」にもすることがたくさんあります。1つ1つ見ていきましょう。
- 親族の承諾を得る
- 管理者に墓じまいの意思を伝える
- 遺骨の引越し先を決める
- 工事をお願いする業者を決める
「墓じまいをした後で、親族からクレームが来る」というケースが多いです。原因は主に、お墓の所有者が親族に相談をしないで墓じまいをしてしまったこと。
本家のお墓を墓じまいするときは、関係者が多いですから注意しましょう。トラブルを防ぐためにも、親族に相談し、承諾を得るようにします。
親族への相談をしたら、次は墓地管理者に墓じまいの意思を相談し、承諾を得てください。
お墓がお寺にある場合、墓じまいをすることは檀家をやめることを意味します。そのため、まずは日ごろの感謝を伝えながら相談として丁寧に伝えましょう。
次に、遺骨の引越先を決定します。「受入証明書」という書類が手続きに必要ですが、この書類は改装先が決まっていなければ発行して貰えません。そのため、墓じまい前に引っ越し先を決める作業が必要なのです。
そして、墓石の工事をお願いする業者を選びます。業者と見積もりをせずに契約してしまうと、高額になる可能性も。業者を決めたら、見積もりを行うようにしましょう。
墓じまいに必要な書類を確認
ここでは、墓じまいに必要な書類を紹介します。
墓じまいの必要書類
墓じまいに必要な書類は以下の通りです。
- 改装許可申請書・・現在の墓地がある自治体役所で貰える。記入したら、墓地管理者の署名・捺印を貰う。※自治体により、埋蔵証明書が必要なこともある。
- 埋蔵証明書・・現在、墓地に誰が埋葬されているかを証明する書類。墓地管理者に発行して貰える。
- 受入証明書・・墓地の契約に関する書類。改装先の管理者に、契約する時に発行して貰う。
- 申請者の身分証明書写し・・改装手続きに、書類を提出する人の身分証明書が必要なケースがある。
- 承諾書・・改装許可申請と、墓地の名義人が異なる場合に必要な書類。墓地のある役所にテンプレートがある。墓地の名義人から署名、捺印をしてもらう。
- 改装許可証・・改葬許可申請書、受入証明書、身分証明書、承諾書が揃ったら役所に提出するが、それらの書類が受理されたら発行される許可証。
改装許可証が発行されると、墓地から遺骨の引越しが可能になります。改装許可証は、新しい納骨先でも必要な書類なので大切に保管しておきましょう。
改装許可証が発行されれば、いよいよ墓じまいです。
墓じまいの流れは?
これまで紹介したのは、墓じまい前の作業や、必要書類についてでした。ここからは、いよいよ墓じまいについて説明します。
- 開眼供養
- 遺骨を取り出す
- 改装許可証を改装先へ提出
- 改装先へ魂入れ
墓じまいには、開眼供養が行われます。開眼供養とは、墓石から魂を抜くことです。普段、宗教にあまり関心のない人は「何でそんな作業が必要なの?」と疑問に感じることでしょう。
真宗系以外の仏教では、お仏壇やお墓に故人の魂が宿ると言われています。魂が宿ったままのお墓へ勝手に変化を加えることは、今まで自分が機嫌よく住んでいた家を向こうの都合で勝手に追い出されることに等しいのです。
つまり、開眼供養とは故人の魂にお願いしてお墓から出てもらい、魂の宿らない元の石に戻す作業なのです。
開眼供養が終了したら、遺骨を取り出します。この時、無理に自分たちで遺骨を取り出すことはおすすめしません。お墓の状況によって、思わぬ怪我をしてしまう可能性もあるので石材店の人に頼んでくださいね。
ここで、前もって決めていた改装先が登場します。改装許可証を改装先(遺骨の引越し先)へ提出するのです。
新しく設置されたお墓も、そのままでは魂が宿っていません。魂入れと開眼供養を行って、魂の宿るお墓になります。
お墓は、魂を入れずに置いておくことが良くないと言われているので、設置したお墓には早めに魂入れを行うのがいいでしょう。
永代供養とは?
実は、墓じまいの他にも永代供養という選択肢もあります。永代供養は、寺院や霊園がお墓参りをできない人に変わって遺骨を管理したり供養したりする仕組みのこと。
少子化によって後継ぎがいない現在、墓守が高齢者などさまざまな事情でお墓参りができないことが増加しています。
このような場合に、墓守に変わって寺院や霊園が遺骨を管理してくれるのです。管理や供養の仕方に決まりはありません。自治体や寺院によって違います。
永代供養のお墓の種類
4種類のお墓について説明します。
- 単独墓・・1人1人に墓石を建てる形態のお墓。多くの寺院などで、一定期間は単独での供養が可能なものの期間が過ぎた後は合祀される。
- 集合墓・・石碑が1つ建てられる形態のお墓。納骨される場所は、それぞれ分けられている。こちらも、期間が過ぎた後合祀される。
- 納骨堂・・遺骨を安置できる場所のこと。1人用、家族用、夫婦用など種類がある。霊園・寺院によって選べる種類が変わる。
- 合祀墓・・納骨する場所が区切られていない。見た目は集合墓と似ている。納骨場所が区切られていないため、改装は困難。
永代供養は、寺院・霊園に管理を任せられるという特徴があります。また、一般的なお墓の形態よりも費用の負担が少ないという部分もあります。墓石を購入する場合を除き、墓石代が必要ありません。
しかし、永代供養の場合定められた期間しか供養されないなどのデメリットもありますよ。
まとめ
墓じまいについて詳しく解説しました。墓じまいをすることって、何だか悲しいことのように感じる人も多くいらっしゃると思います。
墓じまいをしないまま管理が困難になれば、無縁墓になるでしょう。お墓がそのまま撤去されてしまうことも悲しいことだと思います。
墓じまいの手続きをサポートをしてくれるような会社もあります。まずはそのような会社へ、お話を聞いたり見積もりを出したりするところから始めるのもいいのではないでしょうか。
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